2010年11月19日金曜日

「はやぶさ」、世界初の小惑星サンプルリターンを達成

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小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰った微粒子が、小惑星「イトカワ」由来のものだと判別された。「はやぶさ」は、世界で初めての小惑星サンプルリターンを達成した。
微粒子は直径10ミクロン以下のサイズで、花粉などと同程度以下の極微小なものだという。この微粒子には、地球上の岩石と異なり、鉄の含有量が比較的多いなど隕石に似た組成を持つ傾向が見られた。この組成は、「はやぶさ」がリモートセンシングで推定したイトカワ表層の物質組成データとも一致することから、JAXAは微粒子がイトカワ由来のものであると結論付けた。
JAXAは今後、必要な技術や装置を整え、この微粒子を分析することで、「太陽系の起源と進化の解明」を目指していく。
小惑星探査機「はやぶさ」は、2003年5月に打ち上げられ、2年後の2005年9月に小惑星イトカワに到着。同年11月、イトカワにタッチダウンし、サンプルを取得した。そして5年後の今年6月13日、「はやぶさ」の帰還カプセルが地球の大気圏に突入し、14日にオーストラリアにて回収された。
打ち上げから7年後、地球から約3億キロ離れた小惑星イトカワのサンプルを地球に届けた「はやぶさ」の快挙に、JAXAの立川理事長は「人類にとって共通の価値ある財産を獲得した大変画期的なこと」と喜びを表した。


超微細な微粒子を、地球のものではないと断定するのは難しい。地球上の岩石と組成が異なるというだけでは、確信を持って言い切れないと思う。最終的に決め手になったのは「はやぶさによるイトカワ地表の分光観測データなどが、微粒子の分析結果とほぼ一致」ということ。単純に科学的見地から観測したのか、このような結末を予想して準備観測したのかはわかりませんが、満身創痍のミッションながらも、いつ切れてもおかしくない細い細い糸をはやぶさは踏破した。完全な形で。(てゆかその細い糸も実際には何度も切れてる)

そもそもはやぶさは工学試験のためのミッションである。次のような各段階ごとに実験の成果を目指していた。
・イオンエンジンによる推進実験
・イオンエンジンの長期連続稼動実験
・イオンエンジンを併用しての地球スイングバイ
・微小な重力しか発生しない小惑星への自律的な接近飛行制御
・小惑星の科学観測
・小惑星からのサンプル採取
・小惑星への突入、および離脱
・大気圏再突入・回収
・小惑星のサンプル入手
惑星間空間に到達するのも日本としては初であったし、可能な限り経験値を積んで、次回のミッションに役立たせるというのが本当の所だったらしい。「はやぶさは地球に帰ってくるか否か?」という研究者どうしの賭けは成り立たなかったそうな。「岩石回収なら500点」とされた、はやぶさミッション。
我々の旅行は、なにも得るものがなくても土産がなくても、実際に行ってみないと分からない空気や世界を体感できること、それがなによりも得難い旅の価値だと思ってる。はやぶさの旅は60億キロという想像を絶する距離を、故障やトラブルを乗り越えて地球に帰ってきてくれたこと。それだけで、とてつもない価値を持つことだと思う。そしてミッションの目的であるイトカワの微粒子まで持ち帰ってくれたこと。奇跡に近いのかもしれないが、それを導いたのは科学者やはやぶさプロジェクトスタッフの不断の努力と、幾多のトラブルを乗り越える強い意志。そこから我々が学ぶべきことはたくさんある。

60億キロの旅をして手に入れた微粒子。イトカワのような小惑星を構成している物質の状態や組成は、数十億年前にそれが誕生して以来ほとんど変化していない。JAXAの広報担当者によると、科学者は小惑星の構成物質を研究することで、太陽系の進化のかなり早い段階における熱やその他様々な条件に関して、貴重な情報を得られる可能性があるという。
太陽系がどのように出来たのか、そして地球がどのように出来たのか、それを探るためにハヤブサはずいぶん遠い所にまで行ってきたのだなあ。我々にはまだまだわからないことが沢山ある。だからこそ、我々の旅もまだ終わらない。

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