羽田空港で行われたボーイング787お披露目イベントに行ってきた。新整備場駅で降りた先の格納庫。羽田に行く時はいつも京急を使うので、モノレールに乗るのはひさしぶり。
トーイングトラクターに引かれてゆっくりと姿を現した787は、ウイングレットが多少特徴的ですけど、いたって普通の中型機という印象。ペイント無しで空港の中に紛れ込ませたら、どれが787なのか判別は難しそうなくらい。
もちろん中身は次世代期にふさわしい性能が盛り込まれております。中型機でありながら大型機並みの航続距離、炭素繊維の使用による軽量化、低燃費、整備費用の低減などの運行コストへの意識、快適な与圧と湿度(加湿)、ウオッシュレット装備、など。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ローンチカスタマー
ローンチカスタマーとは、航空機メーカーに対して、新たな航空機について製造開発を踏み切らせるだけの充分な規模の発注を行い、その新型機製造計画を立ち上げる(ローンチする)後ろ盾となる顧客(カスタマー)のこと指す。
787のローンチカスタマーとなった全日空。777の時にはワーキング・トゥゲザー(Working Together)という形で開発に関わり、トイレの蓋がバタンと閉まらないようにするなどを提案し、それが採用されたという経緯もある。その時よりも一歩進んで、ローンチカスタマーという最初の発注社として、開発と進行とをどのように進めていったのか、ボーイングとの交渉を担当されたANA社員のお話を聞く機会もいただく。
航空機メーカーであるボーイングと、航空会社であるANAは、次世代機に求めるものも当然異なり、また違う価値観やビジョンをいかに共有するかという問題もあり、妥協点すら導けないような熱い議論が続いたりもしたそうだ。
さらには当初の開発計画から遅れに遅れた787。各パートごとに生産国/メーカーを指定しての外部発注の擦り合わせが原因とも言われたし、いずれにしても次世代機の開発は「今まで無かったものを作りだす」ことなので、そもそも予定通りになど進むものでもないのかもしれない。(ほぼ同時期に開発が進んだエアバスA380もそれなりに遅れたし)
そんな苦難の道を進んで、やっと見えてきた就航。担当者は「787の第1号機の納入を受けることも重要なことではあるのだけど、787の開発に深く関わり、ボーイングと苦難を共にして作り上げたということがANAにとって極めて重要、その経験が今後必ず活きてくる」と語ってくれた。
航空機の開発は10年で数機といったものだし、ローンチカスタマーになる航空会社もそんなにたくさんあるわけでもない。また海外ではANAの認知度はそれほど高くなかったらしいが(日本のフラッグキャリアであるJALが海外では強いというのもある)、それでも787のローンチカスタマーになったことで、海外からの認知度やブランド価値が向上してるという効果も出始めているらしい。
ANAの伊東社長は挨拶で「難産の子ほどかわいいものです」と言っておられたけど、平坦な道でもなく、一枚岩の体勢でもなく、たくさんの想いを乗っけて産まれてきた機体ですからねえ。営業戦略上も重要なんでしょうけど、それだけじゃなくて社員にも愛される特別な機体になるんでしょう。そして787は日本にとっても重要な航空機になると思います。
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